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Column

チロリアンヌのから騒ぎ

2017/11/25

第19回

『想像によって恐怖は⽣まれ、恐怖によって想像は⽻ばたく。』 中野 京⼦

こんにちは。チロリアンヌ⽔無⽉です。
さあ〜〜今年も残すところいよいよあとわずかになってきましたね〜。
チロリアンヌはいまだ独り活動が多い⽇々…とは⾔ってみるものの、結婚しなくても幸せになれるこの時代です、実はさほど憂いてはいないのですよね。
元々フットワークは⼈⼀倍軽いので、思いついたときに叶えられる条件が揃っていれば単⾝で基本スグ何でもします。どこへでも⾏きます。そういうトコ気に⼊っています。
というワケで、チロリアンヌは最近 美術館へよく⾜を運んでおります。上野まで。笑
たまたま⽴て続けに興味のある企画展が⾏われていた、というのもありますが、思いがけず本気で芸術の秋を満喫できており、久しぶりに気持ちが豊かになっております…♪
こういうのって単独⾏動ならでは♪と思うと、ホント悪くないもんです☺

 

9⽉は国⽴⻄洋美術館に、⽇本では初展⽰となるアルチンボルド展へ、そして10⽉は上野の森美術館での怖い絵展へ⾏って、どちらもじっくり鑑賞してきました♪
⼦供の頃から美術にはとても関⼼がありましたが、宝⽯に関わるお仕事を始めてからは、肖像画などで描かれている⼈物が⾝に着けているジュエリーにもことさら興味が向くようになりました。

 

 

今回 出向いた怖い絵展は元々、美術関連本としては異例の⼤ベストセラーとなった、中野京⼦著書『怖い絵』シリーズ刊⾏10周年を記念し実現した展覧会だったので、観て感じるだけとは違い、キャプションもしっかりと読んで、観て知って感じる展覧会でした。
ということは、そこに描かれている⼈物が⾝に着けている洋服や特に装⾝具には、現実とは異なる真実や、それに対する画家の想いなどが意味を持って脚⾊し描かれる美術絵画が、よりその部分に迫って深く解説されているという事であり、私にとって没頭しない理由などないのでした。笑

 

いや〜〜、あんなに濃ゆく絵を鑑賞するなんて⽣まれて初めてだったんじゃないかってほどのめり込んで、実に興味深い企画展でした…思い返しても余韻たっぷり…。
刊⾏されている本の表紙や、今回の怖い絵展のメインにも選抜されている『レディ・ジェーン・グレイの処刑』は、この目で⽣で観れたことが本当に価値ある経験になったと思います。

この絵は、権⼒闘争と宗教対⽴による時代の荒波に翻弄され、わずか9⽇間で⼥王の座から引きずり降ろされた、弱冠16才のうら若き少⼥が処刑される場⾯を描いたものです。
ウェディングドレスを思わせる純⽩のドレスに⾝を包み、⾃らの⾸を乗せる台を⼿探りするその左⼿薬指には、まだ真新しく輝く結婚指輪が描かれ、たった9⽇間の短かすぎた結婚⽣活を思わせます。
その傍らで泣き崩れ、今にも気を失ってしまいそうな侍⼥の膝の上には、斬⾸の際に妨げになるであろうと外された、たった今まで少⼥が⾝に着けていた⾸飾りなどのジュエリーたちが並べられている…。
そこに目を凝らせば、恐らくそれはパールをあしらったようなデザインなのか、⽩く光るように⾒えます。

 

実際に彼⼥が処刑された時というのは、実は彼⼥は⽩いドレスも着ていなければ、周囲に侍⼥なども置かれておらず、構図も様⼦も全く別の絵が実際の当時の様⼦として存在します。
つまりこの絵は、弱冠16才の若さで命を奪われた少⼥の⾝の潔⽩と、その⽣涯の儚さを訴えるために描かれた、画家ポール・ドラローシュの想像上の構図であったのです。

 

幸せと国の繁栄を誓い合った証である結婚指輪と、“純潔”を宝⽯⾔葉に持つパールが、より⼀層この絵と彼⼥が辿ることになってしまった運命をドラマティックに引き⽴てていて、⾔葉にならない想いが胸いっぱいになり、思わず視界が滲みました…。

 

⽇頃、不幸な気持ちで結婚指輪やジュエリーを選ぶ⼈なんていないと思ってお店に⽴ち、そのことに決して違いはないと思っています。
ですが、このご時世にこの国で、ジェーン・グレイほどまで悲劇的ではなくとも、どうかどんな⼈のどんな未来にも、選ばれた指輪やネックレスが悲しい影を落とすことのない様に…と、願わずにはいられなくなった今⽉のチロリアンヌでした。

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